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北風と太陽

 私達は生活に密着した賃貸物件の管理をしているので、いろいろなケースが発生します。
特に多いのは近年の不況と合わさって家賃の滞納や家賃の支払いが遅れるという事態です。
家賃が遅れるというのは100人に数人なのですが、500人に1人くらいは数ヶ月家賃を溜め込んで支払いが滞るという事態が起こります。(当社は保証人をしっかり採っているので他の業者さんに比べて滞納率は非常に低いです。保障協会にお金を払えば誰でも入居させる業者の場合はもっと多いかもしれません。)

そんな困った人に何度か督促しに行くのですが、普通の時間にはほとんど家に居ません。何度も手紙や名刺を置いてきても家賃が払われる気配が無くて困ってしまい、父に相談したことがありました。

その時父が取った行動はすぐ業者に電話して「○×△アパート(滞納者が住んでいる建物)の周りの草を刈って綺麗にしてくれ。」というものでした。

私はなんで家賃も払わない人に対してそういう対応をするのか不思議でなりませんでした。
そんな事をしても相手は家賃を払う気がないのだから意味が無いと考えていました。

数日後、督促金額全額入金があったのです。

その時は大変ビックリしたのを覚えています。

いろいろ考えてこれは童話の“北風と太陽”と同じような話なのかな・・・と思いました。

督促状や電話連絡、夜中まで張り込んで話をつけるのも良いですが、そのように強く当たるよりも(北風が旅人のコートを取ろうと強く吹いても旅人はますますしっかりと着込んでコートを取れない)、草を刈ったり、米を持っていたり、味噌を持っていったり、酒を持っていったり、相手にとって元気付けになるような事(太陽が暖かく旅人を包み、旅人が自らコートを脱ぐ)をする事が近道だったりするようなのです。

父は昔からヒドイ家賃滞納者には人間らしく接して相手を応援して来たと言っていました。その結果、やっぱり払えなくて逃げてしまう人も居たけれど心が伝わって家賃をきちんと払っていった人も居たと言います。

不動産業は生活と密着している為、常に人間らしく、常に相手を思う気持ちがないとできない仕事なんだ。と父が言っていたのもわかる気がした。

 




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