| 相手の信用を掴む これは私が仕事を始める前の話です。私の父は自分で作った無名の会社を、定期収入や知名度、実績などある程度の会社基盤作りをしました。ここまで来るには大変な苦労や困難があったという話を聞いた事があったのですが、何に付けてもいつも言ってるのは「物事を進めるには相手の信用を掴まなくては何もできない」という事です。
当時の父は信用を掴む為に借りている土地、建物は数ヶ月先まで前払いで入金。看板代等は1年先まで前払いで入金という事をしながら信用を掴んでいったという事です。父は20代のうちから60才〜それ以上の人を相手に土地の売買、マンション建築を信頼で請け負ってきました。
これはその当時のお話です。 ある地主さんの実家の目の前に20坪位の土地があったのですが、そこには大変好立地だったので幾つもの業者が来て出店や売却のお願いをしにきました。しかし、家の目の前ということもあり、地主さんはいつも断っていたようでした。
父もその場所は大変魅力的だと感じていたので、何かしら手を打ちたいと思っていました。 そこで父は考えました。相手にとって一番の不安、安心は何か、そして相手の立場に立ってその不安を取り除いて安心を提供することができれば地主さんも心を開くのではないかと・・・・。 地主にとって一番の不安とは土地を取られてしまったり、不法に居座って立退き料を取ろうする事です。
又、地主にとっての安心とは家の前ということもあり、地主が使いたいと思ったときにすぐに移動してくれる人間的な人柄です。 そこで父がとった行動は、相手の信用を掴むために自前で建築しても自分の登記は一切しないで、地主の名前で登記したのです。(土地、建物を作ると登記という作業をして自分が持主である証拠を残します。それが無いと他の人に権利を主張できません。)
、そうして地主の不安を取り除き、安心を提供した為、テナントを無事建築することができました。 結果的に当社でそのテナントを使っていたのですが、その時には「家の目の前に店をださせていただいているので、家賃を払わせていただきます。」といって家賃も入金していたようです。
そしてその地主さんが病状が思わしくないとなれば、相続が発生した場合に大家さんの持ち物(作ったテナント)に入っている自分がいたら子供達が相続した時に権利関係が複雑になるといってそこの場所から出て行ったのです。それ位の潔さがあったのです。
今では地主さんも元気に回復し、他のテナントが入っていますがもちろん入金はすべてその地主に入っています。 又、これは別の話ですが、ある大手会社が10数年200坪近くの当社の管理物件に入っていました。
そこの業者は大変業績が良く、年々事業拡大、社員増員してそのビルが手狭になってきたという事を管理会社である当社に言ってくるようになりました。つまりは手狭という問題が解決されなければそのビルを出るということです。
その業者はビルオーナーにとって大変良い条件で入っていただいていたので父はそのオーナーに増設の提案を何度も何度もしました。“大手の良いお客を逃す事はもったいない!!”と。しかし、近年の不況、それぞれの経済状況もあり結果的にオーナーは増設はしないという事になってしまいました。
そこで父は自前でテナントビルの建築を決意しました。しかも、ビルの目の前を押さえないとその大手会社が借りないだろうと考え、その地主にとって安心して貸せるようにと作ったビルは登記をせず(土地、建物を作ると登記という作業をして自分が持主である証拠を残します。それが無いと他の人に権利を主張できません。)もしその大手業者が転出する場合はその建物を取り壊すという条件までつけました。もちろん地代は前払いです。
結果的にその建物は大手業者が出て取り壊すことになったのですが、その話を聞いたときに相手の信用を掴むことがどれほど大変かという事を身にしみて感じたものです。自分の損得を超えて相手を思える心と、人の器量、アイディアで仕事ができるできないは決まってくるものだと思った出来事でした。
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