| 筋違いの金は欲しくない 「なんだこれ〜〜。」 それはヤフーBBから来た大量の封書の束だった。私たちの会社ではウィークリーマンション事業をしているのだが、その部屋の売りとしてパソコンを設置し、高速インターネット無料という事でヤフーBB
を使っている。今までもキャンペーンやご案内がヤフーからの来る事はあったので又広告が来たのだと思った。すべて開けるのは面倒なのでとりあえず1通開けてみる事にした・・・・・。 ビリビリ〜〜ビリ、手紙を開いてみる。 んっ・・・お詫び!? 「あー、テレビでやっていたヤフーの情報漏洩問題でヤフーがBB加入者1件当たり500円払い戻すってやつね。」 読んでいて、“本当に来たよっっ・・・。(感心)”ていうのが率直な感想だった。 しかも結構な束なので数万円分はある。 私は“ラッキー♪この分のお金で広告でも出そうかな。どんな会社でも広告出さずしてお客さんからの知ってもらう、反応してもらう事は無いからねっっ。”と内心そう思っていた。 比較的反応がよさそうな広告の目星はついていたので、いつ頃出すか、どんな内容で出すかまである程度頭の中で考えていたくらいだ。 その時にたまたま親父がいたので、その話というか報告を事務所の端の一角の青いイスでくつろいでいる親父の所にいってする・・・・。
もちろん、親父もそのニュースは知っていて、その報告を受けてこう切り替えした。 親父:「そのお金はもらってはダメだよ。」 私:「え!?」 親父:「そのお金は筋違いのお金だから、もらってはダメ。そのお金を商品券にするか、お菓子でも買ってヤフーに送り返してあげなさい。」 私はビックリしたというか内心「何で!?」という気持ちでいっぱいだった。 人間は誰でもそうだと思うが、一度手に入ったと思ったものを手放すのは非常に惜しい。 今回も数万円ではあるが、例外なくもったいないような気がしてならない。 又、ヤフーが情報漏洩というミスをしたのは事実で、それはテレビで孫さん(ソフトバンク社長)も認めている。
親父「私たち商売人は筋違いのお金は決してもらってはいけない。いろいろな人から喜ばれて、感謝されてその感謝の対価としてお金という形で手に入る。だから、筋違いのお金は例え金策に困ってどうしようとなくても、決して欲しがってはダメだ。今回はたまたま数万円だったけれどそれが例え1億、2億という高額なものでも決して欲しがってはいけない。」
いくつもの修羅場を乗り越え何十年も商売をしてきたプロの経験からの教えは考え深い。
親父「それを貰ってしまうと自分の金か、人の金か、喜ばれた対価の金か、人をだました金か、盗んだ金かというような人々のおもわくというかお金の種類がわからなくなるんだ。お金は来た経路によって生き金、死に金がある。死に金、筋違いの金は決して欲しがってはいけないんだよ。」
それが商売というものなのか・・・・・。いろいろな事を思いながらも私は感心というか目から鱗だった。
そして親父は怒ったような口調で続ける。
親父「それに何で孫さんはこんな事(500円の返金)をしたか判るか!?それは日本中の経営者に見せたかったんだよ。たいした仕事もできない社員に給料をやりながら、信じていたのに忠誠を誓ったはずの仲間に裏切られる(情報を盗まれる)とこんなに馬鹿げた事(数億円の損失返金)をしないといけないからみなさんも注意してください。っていう事を!!それ位経営者は意地焼けて意地焼けて(イライラして)しょうがないんだという事を!!」
それから数日後。私は郵便局で何十枚という書類に記名押印していた。 封筒には数人の福沢諭吉。 そしてその足でデパートへ向かう。
親父から“こういう時期だから饅頭だと毒が入っている饅頭だと思われるかもしれないから、煎餅か何か日持ちする物を選んだ方がいい”という教えに従い、おいしそうな煎餅のパックを数種類選んだ。そして、あて先に「ヤフーBB
カスタマーセンター」と書き込む。
後日、ヤフーの総務の人から連絡があった。
きっとどんな状況でも応援してくれる人、会社があるという事を知ったヤフー社員は嬉しかったに違いない。
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